みなさん、こんにちは!
今回も夏の実習から、3年次の希望者を対象とした基礎食品製造実習Ⅲ(研究)の様子をお届けいたします。
当実習では、食品の健康維持・増進効果との関わりを総合的に学び、食品生命学(特に栄養・機能、機能性成分分析、食品製造などを通した食品開発)の観点から、食品を幅広く考えることを目的としています。
食品の先端研究をおこなっている研究機関の見学も企画されており、今年度は川崎市の公益財団法人 実験動物中央研究所(実中研)とつくば市の国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機関(農研機構)の食品研究部門を訪問しました。
農研機構では、3Dプリンティングをキーワードに、『革新的な食ソリューション』の実現に向けた研究を進めており、フードロスを減らす社会的使命感をもとに3Dフードプリンターを使った新たな食品開発への取り組みを見せていただきました。
箱の中には3Dプリンターで作製した立体的な文字や模様が入った食品サンプルが入っています。
味や物性をどのようにするかによって、インパクトのある夢✨の食品創成や介護食への応用など、いかに満足度が高くニーズに合ったものを作れるか、使用する材料や配合を日々試行錯誤して試されているそうです。
また、醗酵食品のメタボローム解析を通して知ることができる分析技術の紹介と核磁気共鳴装置(NMR)の見学を行ない、丁寧に解りやすく説明していただきました。
ドアの向こう側には高性能のNMRが設置されており、微量や複雑な分子構造をもつ試料でもその構造に関する精密な情報を得ることができるそうです。
学内のNMRに触れたことがある大学院生にも、とても興味深いお話だったようです。
実験動物中央研究所では、実験動物に関する最新の研究についてたいへん貴重なお話を伺いました。
また施設見学を通して、医療の発展と人々の健康・福祉の向上に貢献するための活動を知ることができました。
動物実験は、これまでに生命科学の発展、とりわけ医学や食品科学の領域では、生体への投与においての安全性や作用機序の解明など、社会への応用を考える際に重要な役割を果たしてきました。
今後も動物の福祉に配慮した、効率的で有効な医療や機能性成分の生体への利用にむけた取り組みのため、ヒト化モデル動物の応用などを含めて真摯に取り組んでいる研究者の姿が印象的でした。(引率教員より)
そのほか、高齢者の嚥下困難者へのとろみ物質の取り組みや、効率的なエネルギー確保のために応用が進められている中鎖脂肪酸など、機能性成分の実際の食品への応用に向けた企業の取り組みをご紹介いただきました。
また、商品開発や品質管理の業務などに従事されているOB & OGによるセミナーでは、現在の仕事が学生時代の経験や思いが少なからずその人生観に強く影響していることを興味深く拝聴しました。
最終日はスライドを用いての成果発表会です。
参加した受講生にとって、普段と違う学外実習や人生観のある話題に触れることができたことはとても刺激的で、内容の濃い一週間が過ごせたように見受けられたと引率の大学院生から伺いました。
暑い中移動も含め大変だったと思いますが、とても充実した一週間だったと思います。
先生方、TA・参加された学生さん皆様おつかれさまでした!
最後になりましたが、訪問先の企業様やセミナーをしていただいたOG・OBのみなさま、貴重な学びの機会を提供していただき心より御礼申し上げます。
■学科事務室■